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Non-Tower空港の日曜日

2017/02/14

今日はカリフォルニアで訓練していた時のNon-Tower空港について投稿しようと思います。

Watsonville Municipal Airport(ワッソンビル市営空港)

4500フィートと4000フィートの滑走路2本を有し、常駐機だけで約380機。そのうち小型の固定翼だけで330機を占めるこの常駐機数の空港としてはかなり手狭な感じの空港です。定期便は無く、ジェネラルアビエーション機やチャーター機、さらにコーストガードと森林警備隊、米軍のヘリがたまに利用といった感じです。

 

ターミナルにはレストランのElla’sが入っており、食事を取ることもできます。

すぐ隣の部屋には空港長がいる部屋があり、この空港のCTAF無線をモニターしていて、たまにトラブルが起こるとインフォメーションを知らせてくれたりもします。

※CTAF = Common Traffic Advisary Frequency 管制塔の無い空港や飛行場を使う時の共通周波数です。この周波数で

パイロットの無線交信、滑走路閉鎖などの時に空港を管理している部署がこの周波数で情報を流したりします。

サンフランシスコから南東に大体50マイルぐらいの位置ですかね。

 

前にも「飛行訓練 転校とグアム」でご紹介しましたが、こちらの空港の土日は非常に混雑します。

なぜならたくさんオーナーさんやら、スカイダイビングの会社さんやら、チャーター機やら、たまにビーチやキングエアの双発機、そしてリアジェットやらCJ1やらサイテーションといったビジネスジェット機まで降りてきます。下の写真の右と左がセスナ社のビジネスジェット機「サイテーション」、真ん中はフランスのダッソー社製、「ファルコン50」です。

なのでひとたび混雑な状況になると、Traffic Patternには何機も飛んでいて、誘導路とRun Up Areaでは離陸待ちの機体があふれかえるという状況に遭遇します。よりによって気温30度という時なんかは飛ぶ前から汗だくです。さらに空港長が休みなのを良いことに、プライベートで第2次大戦中の戦闘機を使って2機編隊でフォーメーションテイクオフしたりモントレー湾上空で曲技飛行したりするという豪の者まで笑

 

最終進入中にふと見ると、滑走路に2機同時にヤコブレフが入ってきた瞬間は本当に目を疑いました笑

とてもてんやわんやなのです笑

ある意味、破天荒で面白い空港なのですが。でも空港上空を編隊飛行しながらアブレスト隊形で飛んで行った時は本当に格好良かった!

戦闘機もってて趣味でアクロバットやってます!!なんて人はアメリカで結構いるというのですから驚きです。

お金稼いで自分もやろっかな・・・笑


管制塔が無いノンタワ―空港なので、空港周辺の無線交信はセルフサービスです。

つまり、管制指示が無いので自分で自分の位置を無線で発信しながら飛行します。他の機体も全員自分の位置を無線で発信しながら進入してくるので、自分で他機の位置とこちらの位置関係を把握して、航空法上適切な進入方法をとって離陸・着陸していきます。

そうです。セルフです。こ・こ・が・重・要・で・す

管制官やレーダーマンは航空機の間隔を航空法上適切な間隔ちゃんと保つようにコントロールします。

もちろんパイロットもです。ですがここはノンタワ―空港・・・誰しもの判断が全て共通な訳はありません。

VMC(有視界気象条件)でのVFR(有視界飛行=レーダーとかじゃなくて目で見て判断して飛ぶ方法)は他機との間隔はある意味パイロットがこれぐらいなら避けれるし大丈夫と思った距離がそれぞれの安全距離みたいなものなので、A機が1000フィート離れてればいいやと思っても、B機は500フィートとか思う場合もあるのです。

個々人の判断がもっとも重要なノンタワ―空港での飛行は、他機(トラフィック)の動向に細心の注意を払っていないといけません。危険な状態は突然発生しやすい状態といっても過言ではありません。逆に言えば適切な間隔をちゃんとパイロット同士がそれぞれ守れれば、たくさんの機体を効率的に運用できる方法でもあるのですが、人間の能力は絶対に過信してはいけない代物です。

訓練中にこういうことがありました。

1回トラフィックパターンでRWY20のレフトダウンウインドにいた時、サイテーションから「レフトダウンウインドに45度進入角で入るよー」という無線が入り、

自分(あれ?今ダウンウインドに俺いるんだけど・・・・・まさか・・・)

とっさに右斜め後ろを振り返ると、サイテーションいるんですよ。脚も出して、ランディングライトがペッカーッ!って光って見えるんですよバッチリ。ちなみにレフトダウンウインドがどこかというとここ。

いやいや待って待って!こっちは80ノット。あっちは最低でも200ノットですよ。すぐ追いつかれるじゃん!勘弁しろよーーーーー!!

ちなみに航空法上、優先権を持っているのは早くトラフィックパターンに入っている方の自分です。

空港への進入順は一番空港から距離も高度も近い航空機、トラフィックパターン上を形をちゃんと作って飛んでいる航空機があれば、進入する航空機の進入順はその次となります。先にトラフィックパターンを飛んでいるのはこちらの航空機なのでサイテーションが自分の次の順番になります。

これだけの速度差があればすぐ追いつかれるし、あっちはこっちも見えてるだろうからトラフィックパターンへの進入をやり直すだろう。

その時はこう思っていました。なので少し早めに進入しつつ、普通に降りよう。でも急ごう。といった感じです。

「Watsonville Traffic, Citation〇〇〇,Turning left downwind RWY20,Watsonville.」

(ワッソンビルのトラフィックへ、サイテーション〇〇はレフトダウンウインドへ進入旋回中、使用滑走路は20、ワッソンビル)

ほう、トラフィックパターンへ入ってきよったよ。でもNo1 Traffic insightとか何も言ってなかったなぁ。あれ?

そもそもなんか向こう見えていないような無線内容です。

そりゃあ入る前に見えてなければ、旋回はじめてしまったらこちらにあちらの腹が見えているような状況です。見える訳がありません。それとも見えてるのか?どっちだくそ焦るなあああ!!

ということでレフトダウンウインドにいる無線はもう言っていましたがもう1度安全のために言うことにしました。まあここで言うということは「こっちは足の遅いトマホークで、もうレフトダウンウインドいるよ。というかもうすぐベース曲がりますよー。気づいて―」的な意味なので、ある意味サイテーションこっち来ないでお願いします的な意味になってしまうのですが笑

こちらとしても気づかれないで追いつかれて後ろからMid Air(空中衝突)されたくありません。安全上の措置です。

「Watsonville Traffic, Tomahawk70B,Turning left base,RWY20,Watsonville.」

(ワッソンビルのトラフィックへ、トマホーク70Bはレフトベースを旋回中、使用滑走路は20、ワッソンビル)

と冷静をたもちながらすっごく焦りながら着陸していきます。

FinalでもうすぐTouch Downしようとした時、

「Watsonville Traffic, Citation〇〇〇,Turning Final, Rwy20, Watsonville.」

おい!嘘だろ!!ファイナルにいんの!!マジでこのまま降りる気かよ!!

途端に教官から「うしろにサイテーション来てるんだから!!はやく滑走路から出て!!出て!!」

「はい!!」

(ですよねーーー!!分かってますよ!!!)

しかし普通に入ってくるならもう真後ろのはず、今ファイナルということはダウンウインドを少し長めに飛行して時間と距離を稼いでロングファイナルへ入るようなコースでも取ってたのかな?いずれにしてもジェット機の運用なんて分からん!一刻も早く出ないと!

スロットルをいつもより多めに入れます。地上滑走中で訓練中であの時が一番入れたかもしれない。

いやいやGo Aroundしてくれないかな、、、

タキシーウェイに出ると、

「ヒイイイイイイイイィィィィィィィィーーーーーーーーンンンンン!!!!ゴオオオオォォォッーーー!!!!」

ターボファンジェットエンジンの音と、逆噴射の音です。そして滑走路全て使い切る手前でようやく減速が終わってました。

こっっっええええええ!まじで降りたよというか速いいいいい!

いつもレシプロエンジンか、早くてもターボプロップのプロペラ機しか見てなかったので、ジェット機の速さは段違いです。

もう一度アメリカ本土で訓練してみたいけど

よくも悪くもおっかなびっくり。ちょっと怖いけどやっぱりやってみたいかな。

今日はここまで

次回こそはFlight Computer(航法計算盤)Part5について投稿したいと思います。

 

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