旅客機

ユナイテッド航空のPersonal Device Entertainmentと機内食、それとSafety Cardについて

今日はグアム往復時のユナイテッド航空機内のことについて投稿したいと思います。

なぜこんな投稿をしようかと思ったのは2つ理由があります。

1:Personal Device Entertainmentのサービスを知らずにグアム行きのユナイテッドに乗ると、3時間30分かなり損をした気分になる可能性があること

2:Safety Cardについて。旅客機に乗る機会はあっても、ライフジャケットや酸素マスクなどの扱い方をCAさんが実演していたりは見た覚えはあるけども、パンフレットはなかなかよく見たことは無い方もいらっしゃると思います。ですがいざとなると時間との勝負になる重要な内容が書いてあるとても大事なCardなので紹介してみたいと思いました

 

ではまず1つめのユナイテッド航空「Personal Device Entertainment」について

これはスマートフォンやタブレット、ラップトップパソコンを持っている方向けに無料で最新の映画からTV Showまでユナイテッドの機内WiFiを通じて視聴できるサービスなのですが、機内ではじめて知ったという方が驚かれながら「ドアを閉める前やチェックインの時からアナウンスしてくれよ」と落胆に包まれている様子を見て投稿しようと決めました。なぜならスマートフォンやタブレットの場合、事前にユナイテッド航空アプリを搭乗前にインストールしておかないと利用できないからです

※追記 未確認ですがインストールしてなくても、WiFiに接続さえしてブラウザーに「www.unitedwifi.com」を打ち込むとストリーミングで見れるような話しも  あるようです。次回グアム行く際に確認してみます。

あと音を聞きたい時はイヤフォンの用意が必要、機種によっては配られますが配られない機種だと音無しで映画をみるはめになるからです。その機内案内がこちら

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また、ユナイテッド航空のサイトでも紹介しています。
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また、これらのパーソナルデバイスによるエンターテインメントのインストール進行状況はこちらの機種です。グアムからだと帰りの昼便を利用したのですが、この路線で使用している737にはPersonal Device Entertainmentのサービスは無く、シートにモニターがついていてテレビ放送のように映画やテレビを放映しています。一時停止や巻き戻しが出来ません。流しっぱなしです。ただこちらではイヤフォンが配られました。下の表でいう※印の但し書きにある737なんだと思います。いずれサービスが提供されるとは思いますが。
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パーソナルデバイスによるエンターテインメントのインストール進行状況
(2016年10月26日現在)
グアムから帰国する際、昼の12時35分グアム発の737型機シートとモニターがこちら、まだコックピットドアが開いていて外の明かりが見えています。座席のひじ掛けに押しボタン式の操作パネルが埋め込まれているのでそれで操作します。ただ何回かひじで間違って押して場面を見逃してしまいました笑

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737型機のシート

個人的には好きな映画を好きなタイミングで見れるPersonal Deviceの方が好きです。米国本土へ向かう路線の787だと機材が新しいせいかイヤフォンも配られ最新の映画もシートモニターで見放題なのですが、夜消灯されるとモニターが明るいので周りの人に気を遣う必要があります。タッチパネルで輝度が調整できるとはいえ。その点Personal Deviceは自分のスマートフォンやタブレットなので輝度を調整して相手の邪魔にならない角度で見れたりします。

ちなみに787米国本土路線はこんな感じです。

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モニターが結構大きめで見やすいのですが、その分消灯した後の映画は両隣とか気にしてしまします。アイマスクしていれば別ですが。

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自分の機体がどこを飛んでいるかも一目瞭然

 

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とこんな感じです。ちなみに機内食は何種類か食べましたが少しご紹介。

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 だいたい必ずコッペパンとバターはついてきて、Fried Rice(炒飯)、Chikin Teriyaki、Egg Rollなどそれなりに出てきます。ナイフ・フォーク・スプーンと前掛け、塩・こしょうは必ず1パックセットになって袋に入っていましたね。
そして機内に置いてあるSafety Cardですが、なんとなく救命胴衣は座席の下に格納してあるとか、着水時に出口が開くと救命いかだ(LifeRaft)が自動で出てきて移乗するとか、急減圧したら酸素マスクが下りてくるとかいうのは分かると思います。ただそれらには2つ、ないしは3つ以上の正しい手順を踏んだ操作・装着が必要になります。機内がパニック状態の中、客室乗務員に助けを求められればいいですが、乗員が怪我などで行動できない事態も十分考えられます。恐らくそんな時間があることはほとんど無いでしょう。さらには入口のすぐ近くに座る乗客は緊急時は補助を求められることになります。そのため米国の航空法ではその座席に座る人は必ず英語がしゃべれる人で、かつ緊急時に脱出の補助動作が問題無く行える人でなければ予約は出来ない決まりになっています。
ということで機内のSafety Cardを今一度写真で見てみましょう。成田発グアム行きのボーイング777型のSafety Cardになります。

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おおまかに言うと陸地のケースまたは着水のケース(いかだの切り離し方法)さらに救命胴衣(大人とこども)の付け方・膨らませ方に夜間自動点灯するライトについてですね

 

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こちらは陸上での脱出方法です、スロープへはジャンプして飛び乗るのが正しいと右上の絵で示しています。高すぎて座る人多数とか。スロープが膨らまなければ手動でリテーリングリングを引いて膨らませます。

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こちらは着水時です。自動で膨らんだいかだは付け根にカッターがついたリテーリングリールがついていますので、人数が載ったら機体に引きずりこまれないようにリールをカットする必要があります。

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こちらは救命胴衣の装着方法です。下から取り出し、袋を破り、首からかけて、垂れ下がっているベルト部のひもを腰に回してからカチッと装着して取れないように紐止めをよく閉めます。航空機事故でたまにあるのですが、このひも止めが閉まっていなかったがために、海上でヘリコプターに吊り上げ救助された際、救命胴衣がずり落ちて海に落下した要救助者がいたケースがあります。近年は救助者側でしっかりと要救助者を固縛して吊り上げていますが、体に力をいれられない状態なども考えられるのでしっかりとくっつけていた方が良いです。ひもを引っ張ると自動で膨らみますが、決して機内で膨らませてはいけません。不時着または墜落の衝撃で通路がせまくなった時邪魔になったりするからです。また、自動で膨らまなかったり膨らみが足りない場合は赤いチューブに息を吹き込み手動で膨らませる必要があります。

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子供や幼児用の救命胴衣です。子供用は大体大人用と操作は同じですが、幼児用はベルトを三か所閉めておく必要があります。そして非常口についたら大人がひもを引き救命胴衣を膨らませます。

 

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こちらは地上滑走(Taxing)離陸(Take-off)、着陸(Landing)時のシート位置やシートベルトの使用についての説明です

 

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こちらはシートに座っている時、突然の乱気流や機体の動揺などに備えてシートベルトは常に閉めるべきです

 

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こちらは不時着水時における衝撃防止姿勢です。CAさんが「Head Down!あたまを下げて!」と言ったらこの姿勢をとります。小さなお子さんは親御さんがしっかりと保持し、チャイルドシートは耐衝撃のために後ろ向きにセットします

 

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こちらは酸素マスクです。

 

ここで1つ大事なことを。なぜ酸素マスクが出てきたらすぐに装着しなければいけないかです。

答えはHypoxia(ハイポキシア 低酸素症)による意識消失・死亡を防ぐためです。旅客機は非常に高い高度を飛んでいる訳ですが、もしどこかに穴が開き、急減圧した場合は外と気圧差が無くなります。機内は地上から少し上がった気圧に設定されているため、航空ではこの与圧された空気は穴があけば圧が抜けることになります。

その際に大事になってくるのがパイロットが機体を気圧の高い低空まで緊急降下させることと、乗客が着陸まで低酸素症で意識を失わないように酸素マスクにより酸素を供給し続けられなければいけません。

アメリカ連邦航空局の資料にこういったものがあります。

Introduction Aviation Physiolosy[航空生理学の紹介]

その中の3-1章にHYPOXIA「低酸素症」についての説明があり、高度ごとの人間が意識を保っていられる限界についての目安時間が載っています。これを

Time of Useful Consciousness(TUC)といいます。直訳すると意識が有効な時間でしょうか。ご覧の通り、低高度の18000フィートであれば20分~30分は人間の意識は保たれ、Effective Performance Timeとあるように行動も出来る訳です。

しかし、旅客機の巡航高度は30,000フィートをゆうに超えます。見てみるとTUC/EPTは1~2分とあります。さらに高度が高ければ35,000フィートでも30秒から1分間、40,000フィートを巡航していれば15秒から20秒で意識を失い行動不能に陥るわけです。43,000フィートに至っては9秒から12秒しかありません。

もしマスクが落ちてきたら、迷わず一番近くのマスクを自分の口にあてるべきです。そしてしっかりと紐をしめ、安全ピンを外せば酸素が供給され始めます。そうしなければほとんどすぐに行動不能になるからです。パイロットは5秒以内に装着できるように訓練を受けているそうですが、CAさんに関しても一番近くのマスクを取るように訓練されているそうです。もし意識を失った人がいても、緊急降下した後にすぐに酸素マスクを被せるて酸素を供給するなど、訓練を受けたCAさんがすぐに救命措置に移れるからです。

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これは先ほどのシートモニターの自分がのっている機体の現在位置ですが、高度は37,000フィート。今ここで客室が急減圧して酸素マスクが吸えないとなると、最短20秒ほどで意識を消失して行動不能になり、低酸素症が長引けば最悪亡くなる可能性もあります。

 

 

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こちらは先ほど記述した非常口に接する座席に座る乗客用の注意書きです。

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こちらは持ち込み禁止物や喫煙の禁止について

 

少しショッキングな内容もあるかもしれませんが、あのSafety Cardはどうしてこうなんだろうと疑問に思っている方へ向けて書いてみました。実際は航空会社ごとに少し違う方法、例えば救命胴衣の付け方とか。あるかもしれませんのであくまでも参考程度にご紹介でした。

 

次回こそは訓練について投稿しようと思います。

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