チェックライド 飛行訓練 食事

第5回 Guam(PGUM) 飛行訓練 ー2017.06.14~06.22ー

6月の投稿がなんと2回で終了してしまうということになってしまいました。

チェックライド準備に奔走していたとはいえ、もう少し書いてもよかったような気がします。

気持ちに余裕が無かったのでしょう。

ま、口述試験で落ちちゃいましたけど!チェックライド!

だがしかし!ゴールが見えているのに諦めるわけがない!

Never Give Up!

(本音:新車が1台半とオプションパーツがいくつか買える訓練費を費やしているのに、今さら後戻り出来る訳が無い!前進あるのみ!)

 

ということで、貯まりにたまった今までの記録を投稿しようと思います。

今回のチェックライド前の訓練は今までの集大成の確認のようなものでした。

それと同時に意外と試験受験に必要な飛行時間が満たされていなかったので、ようやく試験2日前に全て完了したぐらいです。

足りなかったのは単独飛行24分と計器飛行時間48分、3回の飛行に分けて達成しました。

下の写真は飛行訓練前のフライトスクールの機体。それぞれに飛行前点検中です。奥に見える機体はATRというちょっと大きな旅客機です。グアムとサイパン島の間を定期航路で飛んでいます。

今回の渡航で、かねてからの懸案事項であった

iPhoneアプリで入れたForeflightのログが切れてしまう問題について解決しました。

どうやらログの記録中にiPhoneの画面がスリープモードに入ってしまうと、その時点でログが途切れるというものです。

なので常に点灯する状態にしてログを記録してみると、とても綺麗に航跡を記録することが出来ました。

電力は消費しますが、これだけ綺麗に記録が取れれば文句なしです!

 

 

それと、気になり続けたのが天気です。

グアムは6月から本格的な雨季の入口になります。そして最も降水量が多いのが7月と8月。台風やその前段階の熱帯低気圧が近海でたくさん発生します。

そして反時計回りに回転しながら、太平洋の温かい海水からエネルギーを吸い上げ、次第にゆっくりと大きくなった後、移動するのです。

今回の渡航でも熱帯低気圧が発生。毎日「Check Rideの日が飛べない可能性があるのか、無いのか?」という外的プレッシャーを毎日気にしていました。

正直、これが精神的にかなり効きました。試験日が6月21日だったのですが、その前日。6月20日8時54分のグアム国際空港の天候が下記の画像です。

強いRadar Echo(雨の降っているところ)に覆われ、フライトどころではありません。

北側にあるアンダーソン空軍基地の天候は2枚目。完全にIMC(計器飛行気象状態)でVFR(有視界飛行方式)で飛んでいる訓練機や事業機は飛べません。

ちなみにMarginal VFRとは、VFRだけどもほとんどIFRに近い状態ということを示しています。

滞在中は知識の確認、飛行訓練と、せわしなく動いていた気がします。

今回宿泊したのはGUAM GRAND PLAZA HOTEL、久しぶりに宿泊しました。

窓からの景色もなかなか良好です。起床してすぐに直接天候を確認出来るのは気持ち的にも有難かったです。

ああ、今日は下層雲が多い。マニューバーは少し高度上げてStall系やEmergency系を中心に行おう。とか、今日は天気が良く下層雲が少ないからGround Reference Maneuversを中心に飛ぼうかな。などなど。

今回、久しぶりに近くの日本食居酒屋・定食屋の「勝」さんに行ってきました。別名Green Doorですね~!

久しぶりに食べたチキンカツは非常に美味しかったです!

あと、衛星放送で野球中継がテレビに映っていて、店員さんも日本語で話しているしグアムなのに普通に日本で食べているような感覚でした(笑)

 

それとようやく!グアムの日本のラーメン屋といえば「藤一番(Fuji Ichiban)」です!

フライトスクールの方と一緒に食べに行きましたが、予想以上に手頃な値段です!

 

 

そんなこんなで飛行訓練に入りました。

Check ride目前ですが新しい科目まで加わりました。今までやったことは無かったのですが、旋回中のPower on / off Stall(失速)です。

実はチェックライドの試験項目が書かれているACSの55ページと56ページにそれぞれのStallの要件が書いてあり

その中の「Skills」にこういう一文があります。

「Maintain a specified heading,̟̟±10°,if in straight flight,and maintain a specified angle of bank not to exceed 20° ,±10° if in turning flight,while inducing the stall or as recommended by the aircraft manufacturer to a safe maneuvering altitude.」

(航空機製造会社によって推奨される安全機動高度かStall(失速)が誘発される間、もし直線飛行なら指定されたヘディング(針路)を10度以内で維持、もし旋回飛行なら10度以内かつ20度を超えない指定されたバンク角を維持する)

ふーん、「もし旋回飛行なら10度以内かつ20度を超えない指定されたバンク角を維持」だと。

ふむ。

え?

Power on / off Stallって直線飛行だけじゃないの?今までやったことないんだけど。

まあよく考えてみれば、離陸中や着陸前の最終進入中に失速が起きた場合を想定した訓練なので、もちろん上昇旋回中、降下旋回中に発生する可能性もあります。

ということで、旋回に入れながらの失速も初訓練。先に書いたForeflightの航跡ログでココス島周辺で大きな円を描いているのがその時の記録になります。はじめてバンクを入れて失速に入れたので、慎重に操縦していたら、Stall Warning Horn(失速警報)がビービー鳴り続けるだけで、なかなか失速に入ってくれず、大きな円を描くということになってしまいました。動画についてはまた後日投稿したいと思います。

 

 

それと今回の渡航でなかなか興味深かったのが、訓練機の1機についてエンジン整備のためにEngine Cowlingが取り外されていて、内部を見ることが出来たことです。

これは非常に参考になりました。実際に目で見て部品を確認できることは、今まで得た知識がどういうものであったかを身近に実感して記憶に残すとても貴重な機会だからです。

ちなみにこれはEngineの左側を撮影。

もちろんCheck RideのOral試験では、この型式と特徴も言えなければいけません。

例えばこんな感じです。

What is the Engine manufacturer and Model Number ? (エンジンのメーカーと型式番号は?)

⇒ Avco Lycoming O-320-D2J

What is the Engine Type? (エンジンのタイプは何?)

⇒ Normally-aspirated,Direct-Drive,Air-Cooled,Horizontally-Opposed,Carburetor equipped,Four-cylinder engine with 319.8 cu.in.displacement.

(通常吸気、ダイレクトドライブ、空冷式、水平対向、キャブレター装備、319.8キュービックインチのシリンダー4本配置)

写真の「LYCOMING」と書かれている灰色の部分がシリンダーです。水平対向と名前にある通り、反対側にも2本配置されています。こちら側と合わせて計4本ですね。

右下の赤色の箱がバッテリーボックスです。その下の穴がStatic Port(静圧孔)から取り入れた気圧を計器に送るための穴です。

コックピットとの境目には一面、銀色の壁が見えます。これが防火壁(Fire Wall)です。もしEngineが火を噴いても、すぐに操縦に支障が出ることのないようにあるのでしょう。

機首の車輪(Nose gear)はこの下部についています。

また、この防火壁は重量重心計算をする時に、ある基準面として扱われています。

どういうことかというと、飛行機に搭載される人、物、燃料、などなどは重量重心位置を計算しなければ常に安全な飛行が出来ることを確認することが出来ません。

なので重量重心はフライトごとに計算する必要があります。その数値を算出する時には、計算の元となる数値が必要です。

この数値の1つを算出するために、防火壁を基準面としています。基準があった方が分かりやすいですよね?

そして基準面となる防火壁から飛行機に搭載されるそれぞれの搭載物がどのぐらい離れた距離にあるかをインチで測ります。

この測った距離のことをアーム(Arm)と言います。毎回計算していると、フライトごとに飛行機を分解しなければいけませんので、この距離は乗員座席、後部貨物エリア、燃料タンクなど所定の箇所についてはメーカーが発行しているAIM(Aircraft Information Manual=取り扱い説明書みたいなものです)に既に計算された数値が掲載されています。

たとえば、このCessna172P型のパイロットシートは基準面(Reference Datum)となる防火壁から37インチの距離にあります。

そこに77キロの体重の乗員が乗りました。計算する時には77キロはポンドに変換しますので、×2.2してみてください。170ポンドです。

基準面から37インチの距離(ARM)に170ポンドの人が乗る。この37インチと170ポンドを掛け算してみてください。6,290という数字が出ると思います。

じゃあこの出した数字は何を意味するのか?実はこれ、その搭載物が飛行機にどのくらいの回転力を与えるかという指標になります。

たとえば、公園に設置されたシーソーで子供が2人遊ぼうとしている場面を思い浮かべてください。シーソーは動いていないと水平を保ったまま止まっているとします。

2人の子供が遊ぶには、まず乗ります。すると片方に傾きました。

実は子供Aが35キロ、子供Bが30キロの体重です。子供Aの方が5キロほど重かった。するとシーソーは中心点を基点に体重が重い子供Aの方に傾いていったのです。

この傾く力、見方によっては基点を中心にシーソーが回転を始めた。と見ることが出来ませんか?

この回転する力のことをモーメント(Moment)と言います。

回転する力が基準面からの距離と重量で算出できるのなら、飛行機が安全に飛行を継続できるバランスの取れるポイントを計算で求めることが出来るようになります。

基準面からの距離は先ほど書いたように、メーカーのAIMで公示されています。なのでパイロットは搭載した重量さえ確認できれば、モーメントも算出できるという仕組みなのです。乗り込む人の体重は何ポンド?燃料は何ポンド?荷物は何ポンド積んでいる?全て計算してモーメントと重量の総計を出します。

それぞれのモーメント(回転する力)の合計(Total Moment)を、飛行機本体の重量や搭載物の重量の総合計(Total Weight)で割り算すると

その飛行機のバランスが取れているポイント、CG(Center of Gravity)がどの辺りにあるかを求めることが出来るのです。

飛行機の場合、程度の違いはあれど翼の前縁からだいたい25パーセントぐらいの位置がCGになります。

なぜか?

いざ失速した時、前が下がるようにCGが位置して無いと回復できません。なのでCGは前よりの決められた位置だそうです。

とはいえ、先に書いた6,290の数字を使うと桁が多すぎて計算しずらいので、1000分の1にして「6.29」で計算してます。

話しがそれましたが、他にもこんなEngine部品を目で見ることが出来ました。

これは正面から見た写真です。中央の部分にCrankshaftが入っていてPropellerと繋がっています。

左右に取り付けられた4本のCylinder内には小さな空間があります。

何の為の空間か? それは燃料と空気を混ぜ合わせた混合気を燃やして膨張エネルギーを生み出す空間です。

簡単に仕組みを説明すると

その空間には2つのSpark Plug(点火装置)が中に入っています。1本のシリンダーにつき2本のスパークプラグなら、4本だと計8本のスパークプラグがあることになります。

なんでそんなにたくさん必要なのか?もちろん1つ壊れても、もう1つがちゃんと動いていれば安全だからです。

このCylinderの空間に燃料と空気の混合気が取り入れられる。

Cylinderの中に入っているCylinder PistonとConnecting rodsがこの混合気をギューと圧縮するために空間が狭くなる方向へ動いてくる。

一定の線までPistonが動いたら自動的にSpark Plugが点火する。(実際には小さな火花程度も出ないそうな、でも点火)

混合気が燃焼する。燃焼すると一気に膨張エネルギーが発生する。狭い空間で膨張するためCylinder PistonとConnecting rodsを元の位置に爆発的に押し返す。

Connecting rodsは全部、Engine中心部にあるCrank Shaftに接続されているので、ここで膨張エネルギーの動力をPropellerへ伝えることが出来る。

そしてCylinder1つ1つで膨張エネルギーを生み出しているので、4本分のエネルギーがPropellerを伝わる訳です。

ということはCylinderを増やせば出力は増える?もちろんです。

なのでCylinder4気筒Engineよりも6気筒のが良いです。Cylinderが増えた分重くなりますけどね。

でもそれじゃあEngineが止まっている時は、どうやって動かすのか?

それにはBatteryと、下の写真のStarter、それと点火のためにMagnetoを使います。Sky-tecと書かれたのがStarterです。Batteryはさっき書いた赤い箱です。下の写真2枚目にはBatteryと、中央付近に黒い筒状のMagnetoが見えます。このMagnetoもLeftとRightの2つあり、中には永久磁石が入っていてBatteryとは別に電源を生み出します。

なぜ別なのか?それはMagnetoがEngineのSpark Plugに点火のための電源を供給するためだけの電源装置だからです。

また、このMagnetoはEngineのCrankshaftが回り続ける限り、動き続けます。

こうすることで、もしBatteryやAlternator(交流電源発生装置)の電源が喪失されてしまっても、Magnetoから電源供給を別に受けているEngineのSpark Plugは影響を受けることなく点火し続け、Engineは動き続けることが出来ます。

 

 

あああああ、何か書いていたら脱線に脱線を重ねて長文の投稿になってしまいました!

他にもたくさんEngineについて書くことはあるのですが、とりあえず今日は渡航中の写真を何枚か上げて次回にしたいと思います!

ではまず機内食から!

 

 

 

 

 

さてさて、今日はここまで。

 

 

 

 

 

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