今日は前回投稿したFlight Computer(航法計算盤)Part1の続きを投稿したいと思います。
アナログ式のE6Bが表と裏、2つの計算盤面から成り立つ航空用計算尺であることは前回ご紹介した通りです。
それではこれを使う時っていつが考えられるのでしょうか?
1 クロスカントリー飛行前、Navigation Logを作る時
2 飛行中、何かしらの必要に迫られて修正値を計算するため
3 CheckRideの試験前
大体これだけでは無いでしょうか笑
この中でもっともE6Bを使う機会があるのは1のNavigation Log(NAV LOG)を作る時でしょう。これは後で後述したいと思います。
さて、主にE6Bが計算できる項目について、見ていくのは以下の点です。簡単な計算例でご紹介をば。
1 時間
2 速度
3 距離
4 燃料消費量
5 気圧高度とTAS(真対気速度)と密度高度、真高度
6 風と対地速度ととるべき偏流補正角
そしてConversion(変換)できるものも見ていきます。
7 ノーティカルマイルとスタチュートマイルの変換
8 US GallonとImperial Gallonの変換
9 QuantityとWeightの変換
10 Cross Wind Table
まず最初に1、2,3の時間、速度、距離ですが、最初にこの面を見ます。
そして主に使うのは真ん中の円盤に描かれている外周の数字列、それと内周にある数字列です。
内側にある数字を「時間」を表す列、外側にある数字を「距離もしくは速度」を表す列と見て下さい。ただ距離の列といっても飛行機なのに計算できるのが10マイルから90マイルまでではお話になりませんので、必要に応じて10を100マイルや1000マイルに置き換えるように見て計算します。対数表示と言われる所以です。
時間列と距離もしくは速度列、この2列で計算します。
3列目が「1:10」など時間表示ですが、これを分に直すと70分になることから分かるように、それぞれ分表示と時間表示が対応しているだけなので2列と3列はそれぞれ時間の数字として同列で扱います。
ここで内側時間列の「60」ですが「RATE」という表記も書き加えられいかにも重要な役目を持っているかのように黒く塗られています。それもそのはず60分と言えば1時間を表している訳ですから、この「60」を対応する外側列に合わせてしまえば、時速を表すことが出来ます。
ごめんなさい、ちょっとずれてしまいましたがこれで外側列を速度列として扱うと、時間列の60分をあわせたことで時速100ノットと読むことが出来ます。
ここで思い出してほしいのは外側列は距離列としても扱うことが出来るということ。なので以下の例題を解く時にはこのようにします。
例題)GS(対地速度)時速100ノットで20マイル進むには何分かかるか。
ちょうど60分の時間列が100ノットにあっているので、外側列の20を探し、その内側列の数字を読むと時間を出すことが出来ます。外側列20の部分を見ると
外側の距離列20に対応する、内側の時間列は2列目に12、3列目に2:00です。GS100ノットなのに20マイル進むのに2時間はありえないので、この場合読むべき数字は2列目の時間列「12」つまりGS(対地速度)時速100ノットで20マイル進むのに12分かかりますとすぐに分かる仕組みになっているのです。
これが片手で合わせるだけで、電源いらずで分かってしまうのだから先人の知恵は凄いものです。
と思ったら大分深夜になってしまいました笑
長くなると思うので続編を作りたいと思います。
そう言えば前述したNavigation Logについて、これは何かと言うと、航法計画書のことです。
ナビログとか、ナブログとか言われてたりもしますね。
いずれ詳しくご紹介したいと思いますが、これ1枚作ってニーボードに挟んでおけば、それを見ながらここで上昇、ここで変針、ここで巡航、ここで下降などなど。目的地への飛行方法をまとめてある素晴らしい紙のことです。
普段の生活で例えるならば、そうですね。
新幹線ではじめて来た東京駅。ここから中央線で新宿駅へ向かい友達と合流。それから一緒に都営新宿線で神保町まで移動して用を済ませ、そこから結構な上り坂を人込みをかきわけつつ歩いてお茶の水まで移動し中央線で東京駅へ戻る。ちなみに帰りの新幹線があるので全行程を5時間以内に済ませないといけません。家族へのお土産を買う時間も考えれば最低でも30分は余裕を見たいところです。そしてこんな日に限って東京マラソンをやっているため電車や駅の改札は結構込み合っている上に5分から10分の電車遅延まで発生している。はたして帰りの新幹線に乗ることは出来るのか!!
携帯電話の路線情報検索サービスやGoogle先生で経路検索をかけて、効率的な移動方法を確認しようとしませんか? それがつまりナブログなのです笑
携帯電話と違うところは、Weather Serviceなどから風の情報などを自分で拾ってきて影響を考慮する必要がありますが、それらかかる時間や飛行方法を1枚の紙にしたためたものがナブログなのです。
実際のクロスカントリー飛行の時のワードを、今のそれぞれの表現にあてはめると・・・
電車・徒歩での移動経路 = 航路(ENROUTE)
駅 = 途中の空港や飛行場(DESTINATION)
東京マラソンによる電車遅延・上り坂・人込み = 着陸までの順番待ち(HOLD)や強い向かい風や風向風速による偏流補正(Wind Correction)
神保町・お茶の水 = CP(Checkpoint)
全行程5時間以内 = 飛行機の航続可能時間(ENDURANCE TIME)
お土産用30分の余裕 =FAR Section 91.151 Fuel Requirements for in VFR Conditions.でVFR(有視界飛行方式)機に定められている30分通常巡航可能な予備燃料
といった所です。どうですか?普段町で暮らしている人なら誰しもが行っている日常的な生活と変わりありません。ナブログ作れそうと思いませんか?
大丈夫です。ワードがちょっと違って、情報を自分で調べるだけで本質的には変わりません。まあそれが結構大変なのですが笑
実際には予報値を参照して作るので、予報と違う天気現象に遭遇すればずれてしまいます。そうなったら無線航法、地文航法、推測航法、はてはRadar Serviceに助けを求めて現在位置の確認に努めなければ機位を見失いかねません。
安全に飛行機を飛ばすためには必要なことなので、しっかりと学んでいきたいと思います。
それでは今日はここで失礼いたします。
続きははFlight Computer(航法計算盤)Part3で投稿したいと思います。