気象 飛行訓練

単独飛行横風制限値越えで離陸中止。飛行に必要な気象条件、Basic VFR Weather minimums。

今日ははじめて離陸中止に至った決断の時の動画と、飛行に必要な最低気象条件について投稿したいと思います。

チェックライドでは最低気象条件や空域の違いについては必ずといっていいほど聞かれるので

よく勉強しなければと繰り返しテキストを読み返しております。

先月のグアム飛行訓練中の出来事です。

その日は単独飛行を軽く1時間、チェックライドに必要なRequirementを満たすために飛ぶ予定でした。

教官から頂いた単独飛行許可のEndorsement(署名)の横風制限は10ノットまで。これを超えたため離陸中止にしたのです。
事前のATISでは正対風で9ノットだったのに、滑走路直前でのタワー通報値はガスト14ノットの横風成分12ノット。
さらに天候急激に悪化、戻ってランプインしたら滝のような大雨で濡れながらSecure Airplaneをしていました。

中止して良かった。

その時の動画がこちら。(10分程度です)

 

格納庫前でBEFORE TAXI Check listをやった時に得たATIS(飛行場(天候)情報自動放送する無線局)の風は

「Wind 090° 09knots」

滑走路6Rは060°方向の滑走路を使用するので、滑走路に対して右30°方向から9ノットの風が吹いてきている計算です。

このぐらいなら横風制限は問題ありませんでした。

なので、格納庫からRun Up Areaまで地上滑走をはじめました。

天気は雲が多めでしたけども、グアムは雲多めが日常なので日差しが差し込んできているし悪くは無いように見受けられました。

今回の単独飛行は飛行場のトラフィックパターンを回って離着陸を5回程して降りてくるだけなので、早めに終わったら少し管制圏の周りの地形や目印を覚え直して、すぐに降りる予定でした。

1時間ほどで終わる予定のフライトだったのです。

少し悪くなってきてもグアムの管制圏から出るわけではないし、天候が悪くなってもすぐ降りれば良い。

そう思っていつも通り地上を走っていました。それよりも明日クロスカントリー飛行でサイパンまで行けるかな、難しいかなとか考えていました。

うーん、ちょっと下層の積雲厚めだなあ。これだけ多いと対流が起きてるところも多いから、もしかすると気流悪いかもしれない。

少し気を付けようと考えていました。

Run Up Areaに到着したので、90度方向から吹いてくる風に対して機体を正対させるために機体の向きを進んできた方向から反対方向へ変えると

「さっきまで青空見えてたのに、どっから流れてきたこの下層雲!!というか乱層雲だろうな、雨降ってるよなあ」

恐らくつい先ほど出来た雲が、グアム空港周辺で急激に発達したようです。

この日は台風の「ムーファ」が近海で発生していたので、すくなからずグアムも影響を受けていました。

 

これはもうトラフィックパターン回ったらすぐに降りなければと思いつつ、この辺りで

「これだけ急変するなら、やっぱり戻るか?」

と思ってRun Up Check List終わってから少し辺りの雲の流れを見渡しつつ、雲底(Cloud Ceiling)がどの程度か見定めることにしました。

「・・・・・南西と南東は3000フィートありそうだけど、北側は多分2000フィートより低いみたいだ。まだ空港の方へ流れてくるまでは時間がありそうだし、30分ぐらいなら行けるかも?」

少し悩みましたが、まだVFRで飛行している機体が管制と通信して恋人岬などで遊覧飛行していました。それに少しでも単独飛行の時間を埋めたかったので、1回トラフィックパターン回って周りの雲を上空から見て、駄目ならすぐに降りようと決心しました。

というより、こんな雲だらけで遊覧飛行とは。お客さんかわいそうに。一般の旅行客だと限られた旅行日程しかないので、天気ばかりはどうしようも無いのですが。

こういう時ばかりは、訓練やってて景色の良い中飛べてるし良かったかな?とか少し思ったりしていました。

 

とはいえ管制圏の周りの雲が増えてきたので気を付けなければいけません。

グアムの管制圏はClass D(Delta)という空域です。

このClass D空域では、VFR(有視界飛行方式)で日中に飛行する飛行機は視程が最低でも3Statute Miles必要。雲からは水平方向に2000フィートの距離を取らなけばいけません。また飛行機の上方にある雲との距離は500フィート、飛行機の下方にある雲との距離は1000フィートの距離を取らなければいけません。

FAR(連邦航空法)では§(セクション)91の155「Basic VFR Weather Minimums」、AIMでは3-1-4のページですね。

他の空域の制限もそこに書いてあります。

それと今はStudentなのでStudent Pilotの項目、§61の89「General limitations」の中にあるウェザーリミテーションも合わせて守らなければいけません。

いくつかありますが、最低でも日中は視程3Statute Miles。かつ地上が有視界で見えること。

ちなみに夜中の視程は5Statute Milesです。

 

準備が出来たのでグラウンド(地上管制)にコンタクトすると、タキシーウェイD(Delta)からセスナが出てくるのを待って進むように指示。

同じフライトスクールの機体です。

自分も何回も乗っていますが、頑丈で長距離用の燃料タンクを積んでいて、装備も充実した良い機体です。

ただこの機体が着陸する前に管制塔から発出された着陸許可の風向風速が気になりました。

Cessna53L Wind 120° 9 Gust 17,Cleard to land.

(!)

9ノットのガスト17ノット。。。。単独飛行の横風成分10ノット制限値どころかC172Pの実証された最大横風速度15ノット超えるか超えないかといった横風が吹いていることになります。

さっきまで10ノット前後だったのに、急に吹いてきた?

上にある雲はなんかもう積乱雲ぽいし。

吹きおろしの風で初期突風でも吹いてきたら冗談にもならないなぁ。離陸してすぐ帰ってこようと思っていた気持ちも揺らぎ始めました。

そうこうしているうちに、別の会社の遊覧セスナも準備完了して離陸に向けてタキシング許可をリクエストしています。

さっき降りてきたばかりなのに遊覧も大変だなあとか思いつつ、先に上がっておこうと早めにタキシング。

そしてDeltaまで進んで管制塔にコンタクト。

コンタクトすると管制塔は必ず現在の風向風速値を教えてくれるので、

さきほどよりも通報された風向風速値が相当弱まったら行こう。駄目なら引き返そうと思って無線の発信ボタンを押しました。

 

自分「Agana Tower,N98884. Ready for Departure. After Airborne,remaining Traffic pattern.」

(アガナ タワ―、N98884。離陸準備よし。離陸後はトラフィックパターンに留まります)

 

Agana Tower「Cessna 98884, Runway 6R D. Wind 120° 8 Gust 14. Cleared for Take Off. Make Right Traffic and report midfield.」

(セスナ98884、Runway 6R D、風向風速120度方向8ノット突風成分14ノット。離陸許可します。右側のトラフィックパターンを飛行して空港中間点でリポートしてください)

 

駄目だ!横風成分だけで12~13ノットはある!!

引き返そう!

あれ?そういえばさっき遊覧機もリクエストしてたよな?まさか後ろに。。。。。しっかりいるね。

背後に離陸待ちのセスナが機体1機分ぐらいの間隔で待機しています。あちゃー180°回れないや。

管制塔に離陸を中止する旨を通報し、滑走路6Rを通ってタキシーウェイE(Echo)から出てハンガーに戻る旨を通報しようとしました。

しかし初めて通報する内容で緊張していたのか、離陸中止の許可をもらうよりも先にハンガーにタキシングしたい旨を通報してしまい

 

Agana Tower「Are you gonna do Traffic Pattern?」(トラフィックパターンやるんじゃないの?)

 

自分「No Sir,Cancel Take Off. Due to Wind Limitation. So Request Taxi back to ACI Hanger to via Echo.」

(風の制限のため離陸中止いたします。その為(滑走路を通って)エコーからACIハンガーへのタキシーバックをリクエストします)

 

Agana Tower「Cessna 884, Your Cancel Take off Clearance. Taxi on Runway 6R Turn right on a Echo. Contact Ramp Control. 」

(セスナ884、離陸許可をキャンセルします。滑走路6Rを通りエコーから出てランプコントロールにコンタクトしてください)

 

早めに中止していればこんなことにはならなかった。Run Up Areaで引き返すべきでした。

遊覧のセスナ機と管制にご迷惑をかけてしまいました。

ただ滑走路に入って戻ろうと思い、ふと滑走路の先を見ると何も見えません。降水しているようです。

中止してて良かった。これじゃActual IMC(実際の計器飛行気象状態)だ。

右のバリガダの丘はもう雨が降っているようです。

ということはトラフィックパターンの経路上はもう雨が降っていることになります。

視程やCloud Ceilingとの間隔維持もできないでしょう。

そのうちウインドシールドにも大粒の雨が当たりはじめました。

 

そして今回たどった航跡がこちら。

 

どこで引き返しを決めるべきだったか。

間違い無くRun Up Areaで他の機体への風向風速値を聞いた時、天候の急変を察知した時、少しの余裕はあるだろうからと油断せずにすぐさま戻る判断をするべきでした。

あとから考えると、飛行時間が少しついて単独飛行にも慣れてきたので、すぐに飛んで帰ってくるぐらいなら行けるという慢心も加わっていたと思います。

1人での飛行で遅い判断がどういう結果につながるのか、身をもって経験できました。

訓練を始めたころの慎重さを思い出すべきだとも思いました。初心忘れるべからずです。

これがもし、遅すぎた取返しのつかない判断になってしまったらと思うと背筋が凍ります。

ただ最終的に離陸を中止出来た判断は良かったと思います。

 

その代償は30分エンジンを回した燃料代70ドルと、滑走路を使用したために発生した空港使用料の15ドル。

あのまま離陸して空港がIMCになり数時間降りられなくなる燃料代や、もしくはそれ以上の酷い状況に陥らないための代償としては

非常に安いものです。

もっと1人でフライトする時の判断を適切に、迅速い出来るように知識や経験を積み重ねるべきだと実感した1日になりました。

-気象, 飛行訓練

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