チェックライド 学科試験 座学 日常 気象

昨日の北海道管制障害ともしもの時の備えについて

いやはや、昨日ニュースを見ていたらJUST INで速報が入り

「管制障害で北海道空域に航空機が進入できなくなっている」

え?そうなの?

iPhoneでフライトレーダーを見てみると

 

 

本当だ、北海道空域に飛行機がいない。と、思いきや2機だけ入域していますね。全日空機とエバー航空の貨物機のようですが

まさかはるばるジョン・F・ケネディ空港から飛んできて、あともう少しで日本の空域というところで2回ホールディングパターン旋回になったうえ、

札幌コントロールに入域できませんなんて言われたら、落胆することこの上ないし残燃料が気になって仕方がないことでしょう。

本州のトラフィックは相変わらず大量に画面を埋め尽くしていましたが

おそらくこの中の何機かは北海道、もとより札幌コントロールの空域に入域できずに

ダイバートしている真っ最中だったり、新千歳や他の北海道の空港から上がれない機体は

地上でホールド真っ最中なんでしょうが。

 

週末の金曜日に北海道または本州それぞれに帰ろうとしていたお客様にとってはまさに不運な出来事だったことでしょう。

お察しいたします。こういう時、LCCの被害が大きいのですかね?

ちょうど仙台あたりから新潟を結んだ線より北側は札幌航空交通管制部(コールサインは札幌コントロール)の管轄空域なのですが

そこだけ空いていますね。あれ、IFR機がまったくいない。ということは

VFR機、すなわち小型機が飛び放題な空域に一時的になっているということでしょうか?笑

冗談です。日本の血管とも言うべき航空路や主要その他空港の4分の1から離発着出来ないのですから被害額は

相当なものになっていることでしょう。

ともあれ1時間半の復旧で済んだのは不幸中の幸いなような気がします。電力施設のトラブルかつバックアップ電源も作動しなかったと報道されていましたが

バックアップが作動しなかった。というフレーズはとても気になります。

飛行訓練中もVORやADFが壊れたら、Magnetic Compassがバックアップになります。

無線機が1台壊れても、2台目が使えます。2台壊れてもトランスポンダーに無線機アウトのスコークをセットしてタワーにランディングライトの点滅を繰り返して知らせ、トラフィックパターンの少し上の高度から空港を横切り、タワーからライトガンでシグナルを受け取ったら着陸するようにするとか。

フラップが壊れてたら、ノーフラップランディングからフォワードスリップ使うとかです。

普段の生活や飛行訓練中に、バックアップとして用意していたものや方法が使えなかったと分かった時の衝撃はとても大きいですよね。この点、最近よく考えてしまいます。本当に駄目な時に使えるようにしていたものが使えなかったら。

意外と世の中に用意してあるバックアップって、いざという時に使えない事例って検索すると出てくるものなんですね。

グーグル検索で一番出てくるのはiPhoneやスマートフォンのバックアップが出来ていなかったとかが多いのですが

外出先でスマートフォン用予備電源を使おうと思ったら、充電していなかったとか。

登山中に遭難対策で用意していた無線機が地上では使えたのに、山の上では使えなかったとか

衛星携帯電話を普通の連絡手段の予備として持っていったら、衛星電波が拾えずただの重量物になっていたとか

その点で非常に参考になるのが軍用装備品だと思います。特に米軍衛生兵の装備品とか。細かいところにこんな工夫でバックアップを用意しているのかと、思わず感心してしまうような方法がたくさん。

あとはサバイバル関係の本の知識は、知らないよりも知っていたから助かったなんて実戦経験の宝庫です。


SASサバイバルハンドブック〈新装版〉

バックアップのバックアップの兼用バックアップまで用意してあるのを見ると、とても勉強になることが多いと感じます。


もしもの時に必ず役立つ!緊急・応急処置Q&A

 

今訓練している内容の中にパイロットやパッセンジャー(乗客やクルー)が健康上の緊急事態に陥ってしまった時または陥る可能性があることに気づくための学科があります。

たとえば

Hypoxia(低酸素症)

Hypoxia, a state of oxygen deficiency ,impairs functions of the brain and other organs.Headache,drowsiness,dizziness, and euphoria are all symptoms of hypoxia.

(低酸素症は酸素欠乏のことを言い、脳や他の臓器機能の欠乏。頭痛、眠気、めまい、多幸感(上機嫌とか陶酔している状態とか)、が低酸素症の全ての症状です)

酸素の薄い高高度で起こるのですが、たまにそこまで高くない高度でも体調が悪いとなることがあるとのことで。

FAR(連邦航空法)ではCabin pressure altitude(キャビンの気圧高度、与圧されていない小型機のような機体なら高度計に表示されている高度がそのまんまCabin pressure altitudeですね。与圧機は別です。)12500フィートから14000フィートを含む高度を30分を超えて飛行する時はFlight Crew(乗員)にはその高度帯を30分を超えて飛行する時間の分だけは供給酸素(Supplemental Oxygen)が必要と明記されています。2時間のフライトで45分間12,500フィートから14000フィートを含む高度帯を飛行する時は、法律上は30分を超えた時間の15分間は供給酸素を酸素マスクから吸って飛行しないといけないということですね。

FARの§91.211に記載されています。

つまりこの段階では他のOccupant(搭乗者)に酸素供給は法律で義務づけられてはいませんが、15,000 feetからは全員が供給酸素が必要です。

AIMの8章(8-1-2Effects Altitudeの(a)Hypoxia)には

Hypoxia is Prevented by heeding factors that reduce tolerance to altitude,by enrichin the inspired air with oxygen from an appropriate oxygen system, and by maintaining a comfort-able,safe cabin pressure altitude.for optimum protection,pilots are encouraged to use supplemental oxygen above 10,000 feet during the day,and above 5,000 feet at night.

とあります。法律では12,500フィート以上を30分超える場合必要と書いてあるとは言え、実際には8,000フィートを超えるぐらいからは実際的に健康体の人にも影響は出始めてくるので、最後の方に日中に10,000フィートを超える場合は供給酸素を使うよう努力するようにと、夜間は5,000フィートを超える時に供給酸素を使うよう努力するよう、強く推奨されている訳です。

バックアップの話しに戻りますが

例えば与圧されていない小型機、セスナ172のような機体で高高度の13000フィート(ほとんどService Ceiling(運用上昇限界高度)ですが、まあ例題としてです)を1時間程度あらかじめ飛行する計画を立て飛行している時、もし30分が経過した後に酸素マスクが使えないことに気づき

予備の酸素マスクを一応用意していたので使おうとしたら開閉弁のところが不良で使えないことに気づいたとします。

供給酸素の残量はあるのに、酸素マスクがどれも使えないパターンですね。

バックアップで持って行ったのに使えなかったという状態に陥ったとします。

でもまだ大丈夫。

取るべき第2のバックアップというか対処方法は必然的に、法律的には(※注1)12500フィート以下、実際的には10000フィート以下の高度までDescent(降下)しなければいけません。

(※注1 アメリカのFAR(連邦航空法)の法律のことを言っています )

しかし、小型機で3000フィート降下するのって大分時間がかかります。通常降下するのなら毎分500フィートの降下率が通常の降下率なのですが、3000フィート降ろすのに6分かかります。

緊急の時はさらに降下率を増すしかないですが、毎分1000フィートの風切り音を聞くと、この機体空中分解しないか心配になります。

ここでなんと、第2のバックアップ「低高度飛行」を使おうとしたら、眼下に広がるのは丁度12,500フィートに広がる雲層でした。

左右を見るとところどころ隙間は空いているのでVMC ON Top(有視界飛行方式で地表がどこを見ても見えないほど雲層で覆われたところを飛行すること、雲から離れて飛行しなければいけないVFR機は隙間が無いと降下できないので避けることが推奨されています)では無いですが、迂回して雲の隙間から高度を下げるのにさらに5分程度時間がかかりそうです。

仕方無く雲の隙間目指して飛行していると、隙間が見えたのですが、その隙間から見えたのはなんと山!

ルート上は山を避けていましたが、ルートを外れて迂回したので計画前に確認していなかった山が隙間から覗いていたというシチュエーションですかね。

近づくにつれて気流がどんどん悪くなります。山頂部分が見えているということは10,000フィート越えの山岳部付近では山岳波が吹いているかもしれません。

隙間が空いていたのはもしかして乱気流が渦巻いているからなのでは?だとしたら近づくのは危険。

他の隙間から高度を降ろす前に航空図(VFRセクショナルチャート)を確認すると、隙間がありそうなところはいずれも同じような山岳地帯のようだということに気づいたとします。

実質VMC On Topだった訳です。

あとはもう、近くの降りれそうな飛行場の天気を管制から聞いて、高度を降ろせそうなところまで酸素無しで飛行するしかありません。

既に30分を経過して酸素の必要な高度を飛行していたので、迂回を繰り返すうちに10分は飛んでいて、この上さらに別の近くの高度が下せそうな空港へ行くために管制と交信して、色々やっているうちに1時間近く飛んでしまっていたとしたら。そのうちだんだんとHypoxiaの症状のうち、いずれかが出始めました。

ちなみにHypoxiaの症状は、突然発症してくるものもあるそうで、特に頭痛なんかはガンガン来るそうです。

 

1 高高度の飛行を1時間計画してみたけど、酸素マスクが壊れても予備の酸素マスクがあるから大丈夫

⇒ 駄目でした

2 高度を下げて供給酸素の必要が無い低高度を飛行すれば大丈夫

⇒ VMC On Topじゃない程度の雲層上を飛行していたら、隙間のあるところは山岳地帯で高度が下せない程気流が悪い!

3 他の高度を降ろせそうな近くの空港へダイバート

⇒ 時間がかかりすぎてHypoxiaの症状出現!

 

かなりの極論ですが、こういう状況に陥ってしまったとしたら。どうするかをシナリオベーストレーニングの時に考えたことがあります。

バックアップをちゃんと使うにも事前にバックアップ手段がちゃんと機能するかを確認しておかないとバックアップの意味が無いということが言いたかったのですが、チェックライドでシナリオベーストレーニングのオーラル対策をしているうちに、なんだか説明をする時はまずシナリオを考える癖がついてしまいました(笑)

端的に結論から申し上げるのが一番良いのですけども。

 

まあ、チェックライドまで日がありませんのに長文を投稿してしまいました。

ここに来てまたまた現実逃避極まれりです。もっとメンタルをうどんの太麺みたいに太くしなやかに保ちたいものです。

12月7日 or 8日。

これを落としたら、非常に帰国しづらいですねぇ。世間体的に。

とりあえず自信を持って頑張ります。

最後に、最近めっきり寒くなってきたので冬の空景色になってきました。この時期の夕焼けが日本では一番綺麗に見えると思います。

いつも当ブログをご覧になって下さっている方々に改めて感謝申し上げるとともに

皆さま、風邪など召されませんようご自愛くださいませ。

さてさて、今日はここまで。

 

-チェックライド, 学科試験, 座学, 日常, 気象

Chinese (Simplified)Chinese (Traditional)EnglishFilipinoFrenchGermanItalianJapaneseKoreanMarathiNorwegianPortugueseRussianSpanishTurkishVietnamese