無線航法Part1 ーRadio NavigationとNAVAIDについてー
2016/11/29
今日は無線航法について投稿したいと思います。
その前にまず飛行機の航法について簡単に。
飛行機がある地点からある地点までフライトする際、位置・針路・到達時刻をあらかじめ算出、かかる時間と使用予定燃料を決めます。
正直に言えば、私が航空無線の無線工学や重量重心計算の次に苦手としている課目です笑
注意して計算する項目が多いからです。それもそのはず、今まで車のカーナビとススマートフォンの路線情報に頼り切りだった文系出身者が地図を見ながら自分の力で地球の磁力や風の影響、燃料消費やその他もろもろの時間がかかりそうな項目を念頭に置きながら計算しなければいけない訳で、真針路?磁針路?なにそれ美味しいの?といった感じでテキストとにらめっこしながら四苦八苦しました。いや、今現在もしているところです。
航法は5つの種類プラス衛星航法に分けられています。
1 地文航法(Pilotage)
2 無線航法(Radio Navigation)
3 推測航法(Dead Reckoning Navigation)
4 天文航法(Celestial Navigation)
5 慣性航法(Inertial Navigation)
衛星航法(GNSS)はGPSを使ったRNAV(Area Navigation)航法のことです。一番最初、RNAVをどう略したらArea Navigationから短縮できるのか悩んだものでしたが、頭文字のAを取るのではなくAの次のRを略語の頭文字に持ってきてRNAVとしているそうです。
大航海時代から使われてきた地文航法から1つ1つ勉強していくと、頭の良い人はよくこんなこと思いついたものだと感心しきりです。
そのうちの無線航法について、小型機の航法(Navigation)では基本的に使用している航法な訳です。天気が悪くても電波さえ拾えれば無線局までの方位や距離を知って飛んでいける訳です。もちろんどの周波数を入れれば電波が拾えるか分からなくなるので飛ぶ前に使う無線航法施設の周波数を航空図(チャート)やSupplementで調べて利用します。
チャートには無線航法施設が1目で分かるサインが決められています。少し長くなるのでこれはいずれ投稿でご紹介。
また、故障や点検で止まっていることもあるので、NOTAMを調べて運用に関するお知らせが出ていないかも調べます。いざ砂漠の真ん中の施設を使おうとして、実は止まってましたなんてなったらすぐさまLost Position(機位不明)になってしまうので。飛行機にとって現在飛んでいる位置が分からなくなるというのはとても危険なことです。使える燃料は限られていますし、極論ですが機位不明のまま入ってはいけない軍のエリアに入ってしまったりすると大事というか撃墜されたケースもあります。1983年の大韓航空撃墜事件も、原因は分かりませんが航路を逸脱してソ連領内を領空侵犯して撃墜(本当のところは分かりませんが)という事件もありました。あと米国内ですが、軍用エリアが設定されています。特に無断で演習場内の空域に入ってしまい、標的機と間違えられて撃たれてしまうというケースもあるので注意するようインストラクターから教えられていました。なぜなら軍用エリア内に入ってきた機体があったら標的機だから撃墜するよう指示を受けた訓練だからかもしれないからです。演習場内まで敵味方識別というか民間機の識別なんてやらんでしょうし。
話がそれましたが無線航法では以下の無線航法施設(NAVAID)を使います。
1 NDB(Non Directional Radio Beacon) 日本語では無指向性無線標識で、簡単に言うと水平面に360度四方八方に電波ババーッて出してるから無指向性です。使い方としては機体側にADF(Automatic Direction Finder)という直訳のままなんですが自動で方向探ってくれる計器が載っていれば、電波をつかんでNDB局への方向を知ることができます。
ただし、使用条件によっては誤差が出ることがあります。例えば自機から斜めの方向(45度、135度、225度、315度)にNDB局があると、少し誤差が出ます。器差表を見て計器指示に修正値を加えないといけません。まあNDB局に機首を向けられれば大したことは無いのですが。あと昼と違って夜は電波の捉え方が不鮮明になり、ADF計器の針がふらつくことがあります。あと空電がある時もずれるとか。ここら辺は未経験なのでどの程度ずれるものか分かりかねます。というか、ADFがついてる訓練機をあんまり見たことが無い笑 どちらかというと結構古い部類なので、どんどん減っていっている無線標識です。とは言え重宝している島や地域があるのも確か。無線標識があるのとないのとでは大違いですし。
2 VOR(VHF Omni-Directional Radio Range) 日本語では超短波全方向式無線標識で、NDBより精度が良いです。NDBは電波の中波・長波帯を使っていますが、VORはVHF(Very High Frequency)つまり超短波を使用しているので中波・長波よりも電波の直進性が強く、かつ情報量も多くという利点があることになりますが、この場合は飛行機に方位情報を電波で知らせる役目をもちます。有効な到達距離は見通せる距離の範囲まで。
3 DME(Distance Measuring Equipment) 日本語では距離測定装置で、飛行機とDME局との距離を測定する無線標識。
※TACAN(Tactical Air Navigation)という軍用の施設を利用することもできますが、詳しくは次回以降の投稿で。
よくよく考えたら投稿内容がめちゃくちゃ長文になりそうなので区切っていきます。
次は無線航法Part2を投稿したいと思います。