Flight Computer(航法計算盤)Part5 と ちょっとNavigation(航法)
今日は以前の投稿で紹介した航法計算盤Part5、風の偏流補正について投稿しようと思います。
簡単に言えば、上空で飛んでる時、風の影響を受けた分を補正して、ちゃんと目的地に行けるように航行しようということなのですが。無線工学や重量重心計算の次に苦手とする分野なので、このあたりの投稿に間違えが無いようにこの1週間はそれぞれの投稿内容を吟味していました笑
なので長文です。
既に過去の投稿のそこかしこに、誤字脱字の数々が見つかり、軽く読者さまに指摘を頂戴しております。この場を借りてお礼申し上げます。ごめんなさいありがとうございました。
ですが今回は大丈夫!航法計算盤も結構マスターしました! はい多分!!笑
で、今日投稿する内容ですが。投稿の前に少し前置きをしないと何言ってるのか分からないということが判明しました。
なので航法計算盤の投稿と言いつつ、実際には航法(Navigation)の大まかな方法に近くなり長文になりますがご容赦ください。
大きく分けると3つの修正があって、航法は成り立ちます。そしてその中で風の偏流補正が必要になってきます。
なのでまずは3つの修正についてご紹介をば。
1 地球は磁気を帯びてます。そしてその地磁気の頂点「極」の部分が、実はひん曲がってて地軸の極とズレてます。なので修正が必要です。
2 飛行機って風の影響で流されながら飛んでいます。なので修正が必要です。
3 地図見た方位をコンパスで指すように飛ぶと、絶対に目的地には着けない!そして航空機は自分で自分のコンパスをずらしている。なので修正が必要です。
という3点です。
これだけ聞くと「風の偏流補正に関係するの2だけじゃないの?」となりますが、全部関係します。
例題を用いた方が分かりやすいので、例えば目的地Aから目的地Bに行く場合どうするかを紹介します。
日本もグアムも北半球にあるので、北半球での航法を前提に。まずは1~3を行います。
1 | 航空図で目的地Aから目的地Bまで線を引く。(通過地点があれば経由して線を引く) |
2 | 航空用定規のプロッターを目的地AからBまで沿わせて距離を測る |
3 | プロッターの方位目盛りを使って真航路(True Course)を出す |
プロッター(航空定規)はこんなのです。この大きさでセクショナルチャート(区分航空図、全国版とかではなく地方版みたいなやつ)なら100NM(ノーティカルマイル)まで沿わせて測ることが出来ます。また方位目盛りを使って方位角を測れば、それが真航路(True Course)です。航法で計算する上での一番最初の起点になります。詳しい測り方はいずれまた次回以降の投稿でご紹介したいと思います。
ここまでは、一般的な地図で定規と分度器を使って目的地までの距離と方向を測る作業と同じです。スマホとカーナビが出てきてからは久しくそういう作業はしたことが無いような。岐阜の山中でコンパス片手に山頂目指した時は地図が命綱だったなぁ笑
そうそう、三勝屋という定食屋のパーコ―定食が美味しかったのです。下山して疲れ果てた時にあれを食べた時が本当に美味しかったというか生きててよかったというか笑
ネギとタレが絶妙でご飯が進む進む!
あまりに懐かしい食べ物を思い出して、つい投稿のあいまに挟んでしまいました笑
さて
本題はここから
地球は磁気を帯びていて、北と南に磁極が分かれています。
ただ真北に行こうとしてコンパスを見て飛んでも、地軸の極と磁極がずれているので、コンパスの北は磁極なので地軸の真北には着きません。
代わりに磁北に到達します。
真北と磁北は少しずれているのですが、では今飛んでるこの辺りはどの程度ズレているの?
というところですが、実はこのズレ、チャートを見ると書いてあるのです。
はいこれ。
1°E ?
これが地軸の極と、磁北との傾きを表しています。
なんで傾いているの?傾いているものは傾いているのです笑
航法する上では地磁気は傾いているものだと覚えておくだけで十分です。それより先は専門的に勉強したい方向けの知識ですから。
地図(航空図)は真方位で表してあるものなので、真方位を出したら磁方位に変換しないと機上コンパスで見るべき角度が分かりません。また地軸の極と磁北のズレも修正しなければいけません。
ということで航空図で出した目的地までの真方位を、磁方位に変換します。どうやってやるかというと。
4 | 航空図に書いてある偏差(Variation=地球の極に対して磁極が傾いている角度)を確認する |
5 | 偏差の数字が東なら引き算、西なら足し算してください。すると磁方位(Magnetic Heading)が出ます。(覚え方例)East is Least、West is Best。この場合は1°Eなので引き算します。 |
6 | 磁方位が出たなら、その方位をコンパスで見て飛べばいいのかと思いきや、これで終わりではありません。 |
実は航空機はたくさんの鉄で作られた部品があるので磁気を帯びています。その影響をコンパスがもろに受けて磁北をちゃんと指しません。
コンパスが360度を指していても、若干ずれています。この時のコンパスの方位を羅針路(Compass Heading)と言います。
Variationのズレは修正してあるけども、自機の影響は修正されてない状況ですね。もちろん木製の機体とかで鉄の影響などがほとんど無いような機体ならこれでも大丈夫なのですが非常に限られた機体になるでしょう。特に旅客機のこのズレは非常に凄いものだと聞き及んでおります。10度20度じゃ効かないとか。
とりあえず
羅針路のまま飛んでもずれるのなら修正しなければいけません。ちなみにこの自分で自分を苦しめているような真方位と磁方位のズレを自差(Deviation)といいます。
ということで残りの作業をこなします。はいこれ。
7 | コンパスのあたりか、付近にシールかプラカードでその航空機の自差修正表が張られているのでこれを見て修正を加えます。 |
8 | この自差表のことを(Deviation Card)と言います。整備中に定期的に点検測定され、規制値以下(10度以下)が確認されています。されているはずです。。。 |
9 | これでようやくコンパスで見るべき方位が分かりました。あとはこの方位に飛ぶだけ、と思いきや。おおっと忘れてはいけません。地球には風が吹いていることを。 |
10 | ということでここからようやくFlight Computer(航法計算盤)Part5、 Wind Direction&Wind Correction Angle(風向と偏流補正)について紹介を。。。。あれ?前置き長すぎ?? |
ここまでをまとめると
・チャートにプロッターを添わせてTrue Course(真方位)出します。
・チャートのVariation(偏差)の数字を確認して、足し算もしくは引き算して磁方位出します。
・磁気のDeviation Card(自差表)の数字を確認して、足し算もしくは引き算して修正。Magnetic Headingを出す。
これで目的地まで飛べるはずです。風の影響がなければ。ということでチャートで真航路(True Course)を出す時に風の影響を考慮して取るべきWCA(Wind Correction Angle)を出してみましょう。
VariationとDeviationを計算する前に風の修正値を計算してしまえば、まとめて計算できるからです。楽です!
さあ!ようやく本題に入ります笑
この風の風向風速をFlight ComputerのWind Sideを使えばどの程度の偏流補正角を取れば、ちゃんと流されないで飛べる角度を計算することが出来ます。また風の影響を受けつつ偏流補正角を取れば対地速度いくらで飛べるかも出すことができます。
またまた例題に沿って計算してみましょう。グアムから大体サイパンに行く感じをイメージして計算してみます。
・True Courseが30度
・風が90度方向から20ノット
・True Airspeedが100ノット
とします。使う航法計算盤の盤面は以前紹介したこちら!よく見ると上の方に1~6まで計算方法が書いてあります。
1 Set Wind Direction under True Index(風向を「TRUE INDEX」の下に合わせてください、90°なのでEを合わせる)
2 Mark Wind Velocity up from center point(中心点の〇から風速分を上に印つける。この場合150の20上で170あたり)
3 Set True Course under True Index(真航路を「TRUE INDEX」の下に合わせる)
4 Slide Wind Velocity mark to True Air Speed(さっきつけた黒丸を真対気速度(True Air Speed)のラインまでずらす)
5 Grounds Speed reads under center(この時の中心点の下に書いてある数字が対地速度です)
6 Wind Correction Angle reads between center line and Wind Velocity mark(中心線とさっきの黒丸のなす角度がWCA)
以上となりますので
・True Courseが30度
・風が90度方向から20ノット
・True Airspeedが100ノット
の時の偏流補正角(Wind Correction Angle=WCA)と対地速度(Ground Speed=GS)は、WCAは右に10度とる。対地速度はWCA取りながらだと90~88ノット程度。となります。
こうやって計算することが出来ます。
いやあ長くなりましたが、今回はここまでにしたいと思います。
ここまでの長文を読んで頂いた方々に感謝申し上げます。
次回はFlight Computer(航法計算盤)Part6、TASとIASの変換と修正高度についてか、1度まとめてみようと思っていた旅先の食事などについて投稿したいと思います。