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Flight Computer(航法計算盤)Part6 -Conversions(変換)-

2017/03/10

今日はFlight Computer(航法計算盤)Part6、Conversions(変換)について投稿したいと思います。

以前投稿したのが風の偏流補正などについてでしたが、今回は

1 NauticalからStatute Milesの変換

2 NauticalとStatute MilesのいずれかからKilometersに変換

3 U.S.GallonsとImperial Gallonsの変換

4 PoundsとU.S.Gallons(U.S.GAL)の変換

5 Oil GALとU.S.GALの変換

6 LitersとU.S.GAL、PoundsとKilogramsの変換

 

などなどへの変換方法についてご紹介したいと思います。なんでこんなに変換しなければならないかって?国によって扱う単位が違かったり、重量計算する時に単位を1つにまとめなければいけない局面が多々あるからです。

例えば航空機なら燃料計算はガロンかリッター、重量計算はポンドとキログラムという具合です。

重量重心計算を行う時は単位はポンドに揃えて計算しています。これはヤード・ポンド法という度量衡換算の方式なのですが

こんなに変換しなければいけない要因の1つに、ヤード・ポンド法を採用しているアメリカとそれ以外を採用している諸外国との違いがあるために単位変換をしなければいけない状態があります。

例えば

現在ヤード・ポンド法を公式な単位系として採用しているのはアメリカと、ミャンマー、リベリアの3か国だけです。

日本では法律上メートル法が公式な単位として採用されているのは日本で生まれ育った方々ならご存じでしょう。

そして世界的にもメートル法を採用している国々は100か国以上と圧倒的多数なのです。

世界史の復習になるのですが

これは1875年メートル条約というものが結ばれ、国際的に度量衡を統一しようという動きがありました。

それに加盟している国々が世界的な国際標準として国際単位系(SI)と呼ばれる単位系を作り、メートル条約加盟国で使用しています。

というよりアメリカはこのメートル条約にちゃんと加盟しています。

ではなぜヤード・ポンド法が使用されているかというと、法律的に公式な単位はメートル法とされていますが、慣習的・一般的に使用される単位としてヤード・ポンド法の使用がこちらも法律で認められているのです。一般的には商品表示などにもそのように使用されています。

ダブル・スタンダードというやつです。

例えばアメリカでの重量、といえばヤード・ポンド法によりポンド(Pounds)やガロン(U.S.Gallons)が使われています。ここではカッコ書きでグラムやリッターも表記されるようになっていますので日本人にも大分分かりやすいと思いますが。そもそも単位が2つも表記されるなら統一すればいいじゃないかということになり。

現にアメリカ国内でもメートル法への統一の動きはあるのですが、なんと反対派がいます。そして今現在に至るまで本格的な移行への動きはあまり見られません。

例えばこの写真など

どこに何があるかといえば

それぞれ拡大してみましょう。

はいこれ。

※LBSやLBはポンドの省略形です

このように商品表示などに使われているんですね。そして2つの単位系を併記しています。

なんてまどろっこしい!!まあこういう現状から、それぞれへの変換をしなければならないという非常に面倒臭い状況に陥ってしまっているのです。現に旅客機への燃料給油中に、単位換算を間違えたがため燃料が足りずに落ちた事故がありました。

1983年のエア・カナダ143便で発生した燃料切れによる緊急着陸事故では機体の燃料計測システムが故障し、パイロットと給油担当者が仕方なくマニュアルで燃料計測棒(ディップスティック=DipStick)を使用して給油量を確認・計算しました。エア・カナダ社がちょうどヤードポンド法からメートル法へ会社の仕様を変換している最中であったこと。また、エア・カナダ143便は当社が導入した燃料計算にメートル法のキログラム換算を採用したボーイング767型機の最初の機体であったため、給油時に間違えて計算慣れしているヤードポンド法の比重計算を用いてしまったがために、本来必要な燃料量の4分の1以下しか搭載されない状態で離陸してしまったそうです。

警告は無かったのか。燃料計は見なかったのかというと、小型機のように燃料タンク内の量が物理的に燃料計に反映されるシステムではありません。航法装置のディスプレイに電子的に表示されるシステムであり、そして燃料計算システムが故障しているので、その航法装置には手動で給油量を打ち込んだために、システムは十分な燃料があると入力された状態であったため警報が出なかったそうです。

幸い、動翼を動かすための油圧は非常用のラムエアタービンが作動したため動き、スタンバイ計器で高度、速度、降下率など最低限の情報は得られ、管制との交信も最後まで通信設定がなされて支援を受けられたことから、使われなくなったカナダ空軍の基地へ緊急着陸できたそうです。

いわゆるヒューマン・エラーによるものですが。いつ自分がそういう目にあうかもしれません。なので変換間違えのないようFlight Computerだけではなく単位換算を自分で計算する時も間違えないようにしなければ重大な事態を招きかねません。

 

ということでFlight Computerでの変換をばご紹介。

1 NauticalからStatute Milesの変換 例題)90 NM(Nautical Miles)のStatute Miles(SM)は 103.5 SM

2 NauticalとStatute MilesのいずれかからKilometersに変換 例題)115SMは何キロメートル? ⇒ 185キロメートル

3 U.S.GallonsとImperial Gallonsの変換 例題)64U.S.GALのIMP.GALは?⇒外側列の53.5IMP.GAL

※対数表示なので黒枠で囲まれた白文字の10は「100U.S.GAL」と読み替える。100U.S.GALは83.5IMP.GALなど。

4 PoundsとU.S.Gallons(U.S.GAL)の変換 例題)192ポンドのとき、U.S.GALは? ⇒ 32.5 U.S.GAL

5 Oil GALとU.S.GALの変換 例題)15 OIL.LBSは何U.S.GAL? ⇒ 対数表示なので20ではなく2 U.S.GAL

6 LitersとU.S.GAL、PoundsとKilogramsの変換

3~5と同じように外側と内側のアローを合わせて読むだけです。

 

と、なります。やり方さえ覚えてしまえば合わせて読むだけなので電卓より早いかもしれません。

さてさて今日はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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