座学 気象 飛行訓練

空気密度について

2017/02/22

前回の投稿からほぼ1か月あいてしましました。

フライトスクールを転校したのですが、色々と手続きや準備や前回までの訓練記録のまとめに集中していたら更新する時間が無くなっていました。なので本日より貯まりにたまったあれやこれやを連投していきたいと思います。

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さて、前回投稿で空気密度について投稿すると宣言した手前。正直うまい説明が出来るか分かりませんがさらっと書いてみたいと思います。

結論から言いますと、飛行機は空気の波に乗って流れていくから空気がどういうものか理解して場面場面で適切に利用していくことがとても大事になります。じゃあ空気はどういうもので、どういう特性をもっていて、どういう時にどのように変化するの?という訳なのですが、常に変化していくものなので正直要点を押さえて理解していかないとこんがらがります。正しくは自分がこんがらがりました笑

飛行機の性能に関係するのは空気密度です。それはもう密接に関係します。飛ぶために翼で揚力を得る時、プロペラで後ろ向きの推進力を得る時(ヘリコプターは上向きの揚力を得る)、レシプロエンジンではCarburetor(キャブレター)で燃料となるガソリンと空気を混ぜ合わせて最適な混合比にして常に安定した膨張・燃焼を起こしてクランクシャフトを回す動力源となりプロペラを回転させるため、エンジンを空冷で冷やすため、気圧で高度や速度や上昇率・下降率を知るため、ジャイロ計器にラムエアーを送り動作させるためなど、用途は本当に様々です。

では空気密度を知る上で押さえるポイントは?

① 気温(暑い時、寒い時)

② 高度(高い所、低い所)

③ 湿度(乾いた日、湿った日)

この3つのポイントと変化する条件、影響を受ける部分をおさえます。

変化といってもどこを基準にしていいか分かりません。なのでICAO(国際民間航空期間)が定めた「標準大気」を基準に考えます。これは地上でもっとも低い場所、つまり海面上の値を仮に取り決めた国際的な仮想値のことです。

① 気温15℃

② 地上(海面上)気圧29.92インチ、それか1013.25hPa(ヘクトパスカル)

※29.92インチを基準に、変化1インチあたり1000フィート、0.1インチあたり100フィート、0.01インチあたり10フィートの違いが出てきます。

③ 気温減率は1000FT(フィート)につき2℃、1000m(メートル)につき6.5℃

※地上の外気温15℃のとき、1000m高い山の頂上は気温減率マイナス6.5℃として外気温8.5℃ぐらいです。

※放射冷却が原因で場所によっては、気温の逆転現象が発生する場合もあります(上空逆転、接地逆転など)

④ 完全な乾燥気体であること

⑤ 空気密度が1立方メートルあたり1.2250㎏(1.225㎏/㎥)

⑥ 標準重力が9.80665メートル毎秒毎秒(9.80665㎨)

と定められていて、航空ではこのうち①、②、③が利用されています。(あくまで目安ですが)

昔どうやって飛行機の高度は決まっていて、世界中の航空機はどうやって使っているのだろうと悩んだことがあります。アメリカで飛んでる飛行機が国際線でロシアに飛んで行ったら高度ってどうしてるんだろうと。というかロシア国内で飛行するのってロシア語?国際線のパイロットってまさか全世界津々浦々の語学に堪能じゃなきゃいけないのかな?もしそうならバイリンガルとかいうレベルじゃねえなぁと今思えば面白いことを考えていました。

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座学ではじめて標準大気を習った時、なるほど世界中の航空機がこの標準大気を基準に飛んでいると考えれば合点がいくなと。航空の世界では国際標準的に英語を使っているのねと。とってもスッキリした覚えがあります。

さてこの標準大気、パイロットは必ず日常的に使うのですが例えばどんな使い方があるのか?

例えば前述の飛行機性能に関係してくる空気密度について

①空気密度が増えている時とは・・・(High Density)

気圧が高く、低高度、かつ気温は低く、乾燥している日です。

この時、空気の粒が多い状態です。粒が多いとそれだけエンジン、プロペラ、翼にあたる粒は増えます。つまりそれだけ多く使うことが出来るということです。翼が使える空気の粒が多ければ揚力は増えますし、エンジンの性能もよく出ます。プロペラにあたる空気の粒も多いということはそれだけ推進力が効率的に得られます。

この条件を全て満たすところを例に出すと、緯度の高いところにあって高度も低く、寒い地域の乾燥した空港などではないでしょうか?

多分Mixture Settingはかなり気を使わなければなりませんが、多分早く浮き上がると思います。

 

対して

 

②空気密度が減っている時とは・・・(Low Density)

気圧が低く、高高度、かつ気温は高く、湿っている日です。

上記①と逆のことが起きるわけですが、ではなぜこの状態で空気密度が減っているのか?それは

高度が上がると、気圧は下がり、比例して密度が下がる。

高温になると、空気の粒は大きく振動します。そしてその空気は広がろうと(膨張)します。一定量しか持てない空気の体積、膨張すれば空気の粒がそれだけ減ってしまいます。空気の粒が少ないということはエンジン、プロペラ、翼にあたる空気の粒は減少。たとえば離陸の時など普段浮き上がっていた滑走路の点よりもさらに滑走距離と速度を付けないと浮き上がる揚力を得られないのです。かつプロペラにあたる空気の粒は普段より少ないため速度も伸びずらく、エンジンも規定の性能が出るはずのセッティングでもかんばしくありません。

この時、もし。普段の空気密度がある時にギリギリ上がれる長さの滑走路を利用していたとしたら。Low Densityの時には上がれません。

それに気づかず上がろうとすれば、離陸中止(Reject)か中止を決心したとしても判断が遅くなれば最悪オーバーラン。さらにローテーション速度に達していて離陸したとしても、速度がいつも通り得られず失速(Stall)に入る危険性があります。それも低高度で。

つまり飛行機の性能は空気密度に左右されます。引き出せる性能は上がる前にちゃんと確認しておかなければならないのです。

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その他にも標準大気の仮想値から導き出される目安は、こんな利用をしてたりもします。

例1)今日のとある飛行場の今の時間の気圧は29.85インチ、標準大気29.92インチより0.07インチ低いなぁ。とある飛行場のField elevation(標高)は305フィートと決められているから、70フィートプラスして375フィートが今のとある空港の気圧高度か。さてさて気圧高度が分かったから密度高度の算出は~と!

例2)今日のとある飛行場は15℃、これから上がる巡航高度は6500フィートで1時間。1000フィートあたり2℃下がるからマイナス13して大体2℃が外気温ぐらいかな。気圧配置はほとんど変わらないしなぁ、よーし!与圧されてないレシプロ機だから防寒服着て上がろっと!

といった具合に使ってたり。もちろん上空に寒気が入り込んでればたとえ標準大気の気温減率で2℃ぐらいと出ていても、それ以下になってしまっている層はあります。だから高層天気図の確認は必須。実際は6500フィートにマイナス6℃の寒気が入り込んで湿っていたりしようものならアイシング(着氷)を起こして危険な状態に陥るかもしれないからです。Icing(着氷)はほんの一瞬で起こります。

IcingはエンジンのCarburetor Icingと機体構造上に発生するStructural Icingがありますが、このStructural Icingは目に見える水蒸気が無いと発生しません。例えば雲とか。もしピトー管や静圧口にIcingが起きれば速度、高度、昇降計が使えなくなります。(一応それぞれ対応策はありますが、あくまでも緊急時。でもピトーヒートがついていれば別かな)

この小ささでもピトー管です

上の写真はカリフォルニアで訓練していた時の機体です。細い管がピトー管です。このピトー管にはピトーヒートがついていません。

快晴の中飛んでいたら、少し雲が出始めてきて、ふっと左向いたら5秒前までなかったのに霜状のRime Icingが発生してて、よく見たら左のギアにも着きはじめてて急激に成長中。急いで高度下げて気温の高いところに逃げ降りて事なきを得たなんてことを聞きました。

ちなみにRime Icingとは中に空気をたくさん含んだ霜状のMixed Iceです。気温の高いところに下がれば消えるように無くなります。

これとは別にClear Icingというものがあります。これは製氷機で作った透明な氷みたいな着氷のことです。この状態に陥ったら、重たく、取り除くのが難しく、もし剥がれたとしても機体にダメージを負う可能性があります。さらに操縦舵面(エルロン、ラダー、エレベーター、トリムなど)に着氷すればまず操縦できません。さらに翼面上下にできれば揚力を発生していた空気の流れを阻害し、揚力を失います。非常に危険な状態のゆえんです。旅客機のようにヒーターがついている航空機であれば対応策は取れますが、小型機でヒーターがついていない機体でIcingが起きたらすぐさま対応を取る必要があります。そもそもそのような場所を飛ばないよう、Weather Briefingをしっかり行うのですが。まれに予想外のIcingに遭遇してしまった場合などに適切な対応が取れるようにしなければなりません。

飛行機が飛行する前に様々な気象状態を必ず確認しなければならないのは、機体が出せる性能を確認する面もあります。ただ滑走距離がその時の気象条件で足りているか、局地的な寒気が高層にあって運航に影響しないかを確かめることが重要にもなります。

なのでいつも通りチェックリストをこなすのではなく、気象条件その時々にあったチェックを行わなければいけないのです。

と、いうことを現在絶賛フライトスクールや仕事で勉強している訳なのですが。今もテキストを読みながら間違いが無いか確認しながら投稿しています。何分勉強中の身。間違いがあれば是非容赦無く指摘頂きたいと思います。色々書いたら長くなってしまいました笑

次回は先週ついに始まったグアム飛行訓練について、投稿していきたいと思います。

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