座学 気象

10種雲形Part2 それぞれの雲の発生から分かること

先日のPart1に引き続き、本日は10種雲形Part2について投稿しようと思います。

ただ、雲は10種以外にも様々な種類、変種、副変種に分かれていて、全部紹介していたらとんでもない長記事になりそうなので少しはしょってみました。

まずはこれがどこで決められていているかですが、

国際気象機関という国際機関で「国際雲図帳(International Clouds,Atlas)」というものがあり、その中で雲の定義(Difinition of Clouds)と雲の類別(Table of Classfication Clouds)が決められています。

電子版がサイトで公開されていますので、興味のある方はこちらからどうぞ

数年前にこの雲の種類のうち、乱層雲(Ns)が下層雲から中層雲にクラスチェンジされるということもありましたので、観測方法の進歩や未知の領域が明らかになるにつれ、その都度内容が改訂されていっているようです。

さてさて、基本の形として10種雲形があると紹介しておりましたが、実はこれだけの細かな仕分けがなされています。

(出典元:国際気象機関 国際雲図帳 Ⅱ-1-4 TABLE OF CLASSFICATION OF CLOUDSより)

一番左の行が10種雲形の行です。

そして右側に行くにしたがって、それぞれの雲形に種類(SPECIES)、変種類(VARIETIES)、副変種類(SUPPLMENTARY FEATURES AND ACCESSORY CLOUDS)と細かいものがあることが分かります。これは気象関係の専門家が地上観測を行う上での参考表のようなので、このような細かいものがあるのですが、ものによっては航空機の運航に重大な影響を及ぼすものもあります。

例えば

Cumulonimbus(積乱雲=略してよくCBと言われています、小型機でこれに入るのはまず間違いなく自殺行為です)、Lenticularis(レンズ雲=気流が物凄く早い場所にできやすい。強い気流が山に当たって発生する物凄い乱気流の山岳波の目印にも。)、Virga(尾流雲=地上に届かない降水、だけどその下にはダウンバーストが起きている)などです。

日本を前提に例えを紹介しますが、まずCB。

CBは夏場によく出来ていますね。別名、入道雲。ゲリラ雷雨などと呼ばれているものの正体はこいつです。大気が不安定な時などに発生します。この中は物凄い上昇流、下降流、発雷、超低温、ひょうやあられなどのごった煮状態となっていますので、CBを見かけたらまず近づかないのが鉄則です。カリフォルニアで訓練していた時は最低でも10マイル、できれば20マイル以上離れることを推奨されていました。遠くに見えても実は自分の機体の頭上で成長真っ最中だったりするからです。高度3万フィートをゆうに超えて成長するので、自分の周りが晴れていて遠くに見えていても上からひょうやあられが飛んでくることもあるのだとか。

レンズ雲は日本では今まさに発生しやすい時期ですかね。日本の冬は山岳波のシーズンです。特に富士山なんかは風がぶち当たるので風下側は物凄いことになっています。衛星画像でも時折り雲が渦巻いているのがよく分かります。

山岳派にあたると、大型の旅客機でも1発で設計荷重を超えて空中分解するほどです。有名なのが1966年の英国海外航空機空中分解事故。富士山の風下、高度15000フィートを飛行中に山岳派にやられた事故です。この4年前にも築城基地から入間基地へ移動中のF-86戦闘機4機のうち2機が山岳派に遭遇して墜落していたそうです。

また、米軍のB-52爆撃機は山岳派にやられて垂直尾翼の3分の2をもっていかれながらも基地に帰投したという記録もあります。

尾流雲についても、空港周辺で観測されるとMETAR(定時飛行場実況気象通報式=空港のまわりの気象についての定時観測情報です)でその存在が「VIRGA」と記載され、空港からどの方向にあるかが発表されます。

 

それと前線の移動に伴って雲の形が変わっていくのです。

これはFAAの資料からですが、図解で前線付近の雲の形成過程が良く分かる資料だったのでご紹介します。

まず温暖前線が移動してくる時、温かい空気が冷たい空気の上にのっかってくる感じになりますね。その時の雲の形成過程としては以下の通り、最初に巻雲(CIRRUS)、次に巻積雲(CIRROSTRATUS)、高積雲(ALTOSTRATUS)、そして前線面付近では乱層雲(NIMBOSTRATUS=雨雲)と。一連の流れでどの雲が雨の前触れかという兆候を事前に捉えることが出来ます。図の下の天気図記号が徐々に雲量が増えている様子を表し、右下のMETARのデータを見てもシーリング(雲低)が150、060、020、010どんどん下がっていくのが見て取れます。

(出典元:連邦航空局(FAA)Airman Knowledge Handbookより)

 

次に寒冷前線が移動してくる時はというと、冷たい空気が温かい空気をブルドーザーみたいに押しのけています。兆候としては寒冷前線の進行方向にある空港では徐々に雲の量が増えてきて、KINDの空港でいきなり「+TSRA」と表記されています。これは

+がHeavyと読み、TSがサンダーストーム、RAがレインの略語なので、ヘビーサンダーストームレイン(雷雨が激しい)状態を指しています。突然このようになっていることから、CBが急発達していることをよく示しています。しかもこのCB、動きが早いのです。埼玉の入間基地がCBに襲われていた時、METARの発表ではMOVING SE(南東へ移動していて)との発表でしたが、20分もしたら立川まで移動していました。しかしこのCBに目を奪われていると、そこかしこで別のCBが発生していつのまにか林立状態に。

もし飛んでいる時にCBを避けたと思っても、目の前に別のCBが出来ていた。なんてこともありうるのです。

(出典元:連邦航空局(FAA)Airman Knowledge Handbookより)

一番いいのは、いち早くこういった天気の兆候を捉えることだと教わりました。

それは飛ぶ前のウェザーブリーフィングも然り、飛行中に兆候を見つけてFSSに問い合わせるもよし。(日本ではFSC(インフォメーション)かコンタクトしている管制機関ですかね)

とにかく運航に影響が出ないように気を付けないといけません。また不意に遭遇した場合も自分の知っている知識とその時の判断がとても重要になります。

雲の形1つとってもこういったたくさんの情報が得られるので、知識の積み重ねはのちのち自分を守ることに繋がるのだなと仕事しながら思った次第です。

他にも停滞前線や閉塞前線の時の例などの資料もこちらから読むことが出来ます。(まあ英文なので、英語が読めなくてもこのように図解で直感的にイメージ把握出来る資料が多いのがアメリカの良いところだと思います)

FAAのサイトでは他にも飛行機からライトスポーツ機まで、ありとあらゆる航空関連の知識、安全、意思決定に関連する情報がオンライン上で無料公開されています。安全啓発という観点からは、こういった取り組みは個人的にとても素晴らしいことだと思います。

さてさて、今日はここまで。

 

 

 

 

 

 

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